ハノイ駐在員日報(不定期)

ハノイ在住1年半。ベトナム&ハノイの情報をオッサン住民目線でおおくりします。

刑法第292条がベトナムのスタートアップの成長を阻害するかもしれない話

 「えっ。なにそれ?無理っしょ」という悲痛な叫びをあげたくなる無茶な法律や制度がいつの間にか出来上がってしまうことが少なくない不思議の国ベトナムからお送りしております。

 

 当地へ進出を検討する企業の多くが「法制度の未整備、不透明な運用」を投資リスクにあげる*1というのがここベトナム。このゆるふわ法制度のゆるふわ運用は、進出時だけでなく当然のことながら現地でビジネスを推進する際にも頭痛のタネとなり、我々の眉間のシワを深くする原因の1つとなっています。

  

 さて、本題。

 

 1999年に施行されたベトナムの刑法が昨年改正され、2016年7月1日から施行予定となっていましたが、施行予定日直前になって急遽大人の事情により施行が延期されました。

ここまでは、「まあ。ベトナムあるあるだよねー」という話です。この延期の原因の1つではないかと言われているのが本件。

 

ざっくり当局へ未登録のでインターネットやモバイル(アプリ含む)サービスは200M-500M VNDの罰金か2年以下の懲役という内容になります。この刑法(改)第292条に対してハノイのスタートアップコミュニティあたりから「えっ。なにそれ?無理っしょ」と悲鳴があがっております。

 

According to Article 292 of the 2015 Penal Code, providing unlicensed services on the Internet or through mobile networks will be deemed a criminal offense.

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As for Article 292 of the 2015 Penal Code, any unlicensed provider of Internet- or mobile-based services who generates profits between VND50 million (US$2,232) and VND200 million ($8,929), or revenue between VND500 million ($22,321) and VND2 billion ($89,286), will be fined from VND200 million to VND500 million, or a suspended sentence of up to two years.

https://www.techinasia.com/talk/article-292-destroy-vietnamese-startup-ecosystem

 

 

参考リンク)

Vietnam startup community concerned as criminalization of unlicensed online service looms

 

この記事をTechinasiaに寄稿したJason KasselさんのFacebookに、ベトナム政府ではたらいているという方から、「単にサービスを登録しておくだけでOK。スタートアップの動きを阻害することが目的ではなく、登録することによってビジネスモデルが保護されるとか、e-commerce企業の脱税対策の意味合いがある」とのコメントがついています。

 

いずれにせよ、これ刑事罰ですしね。

 

個人でやってるサービスを逐一登録せよというのは面倒ですし、お金もかかることでしょう。個人のディベロッパーがアプリをリリースし、収益をあげる事に対するハードルがあがります。間違いなく。伝えられている内容から察するに、ベトナム政府も推進しているはずのスタートアップ企業の活動にブレーキとして作用することは不可避でないでしょうか。